閃光うさぎ/ただのみきや
壊れた天秤が地平の距離を金色に燃やすころ
符号の片割れにされたうさぎは橋から飛び降りた
もの事が売り買いされていた
のたうつ悲鳴が
脚を生やして時間からの逃亡をはかる
そんな一日との組体操に船一艘投げつけた
舌と眼球が
熟れすぎて取り返しのつかない現実の照り返しに
竜巻だ百も千もの旋律が筋肉だ
風もないのにめくれる雑誌の火照った横顔
方向の定まらない微笑みは辺りを破壊した
女神のかいな振る風の袖
光景すべてを引きはがして貪婪に貪ると
それらはくびれの中心の小さな抜け穴を通ってどこかへ転移する
だが真夏の夜の羽アリみたいに
無暗な感情の動乱がいつまでも続くことは
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