幽霊は死なない/ホロウ・シカエルボク
川岸すれすれをずっと走っているボート
なにかを探しているのだろうか
それともボートで居ることに飽きたのか
だとしたら随分未練がましい行為だ
冷たい横風を受けながら橋を渡ると
太陽の光は壊れた万華鏡を覗いたみたいに屈折しながら生きていた
音楽を聴きながら部屋の天井を眺めていると
すでに幽霊になっているのだという気がする
ある意味で俺は
生まれてからずっとそんな時間を望み続けていたが
いざそうして憧れの中に腰を据えてみると
思っていたほどのものではなかった
直感のみで評価されるニュースとゴシップ
人々の思考は最早
ファーストフードと同じ速度が望まれている
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