キリエル人(きりえるびと・ウルトラマンティガ)/角田寿星
跡を執り行なう人でも神でもない者――想像力の欠如と嗤うには早計だろう。
人類もまたキリエル人にとって理解の範疇外にあった。
異端審問官は止め処ない幸福の波に翻弄され発狂した。権力者たちは同胞
からの搾取と簒奪に明け暮れた。民草と呼ばれた持たぬ者たちはその日や
明くる日の腹を充たす事に神経を擦り減らし一分一秒でも生き永らえたいが
故に夜明けを懼れ憎んだ。
そのキリエル人は視た。超高温の粉塵に塗れて巨きな銀色の翳が呆然と
立ち尽くすのを。この大絶滅は生命をいくつ持参しても贖える規模では
なかった。絶望に撃たれ震える巨人の背中。巨人の足下には赤い球体が
真っ二つに裂けて横たわる。キ
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