詩の日めくり 二〇二二年十月一日─三十一日/田中宏輔
もいた。そのうち4人を殺した。主人公はある有力な人物に仕えていた。その人物はゲイではなかったが、世界中でもっとも美しい男たちを犯すことを喜びとしていた。一行空きの多い文体だった。
二〇二二年十月十五日 「増殖」
6作目は、T・E・D・クラインの「増殖」田舎の一軒家を買った夫婦の話。まえの住人が残していった家庭画報のような本を読むというだけの物語。ホラー・アンソロジーなのに、ホラー的なところがいっさいなかった。短かったのが取り柄の小説だった。叙述は、すいすいと読みやすいものだったけれど。いや違った。ぼくの読み落としだ。まえの住人の残していった雑誌に投稿欄があって、浴室の床の中央
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