詩の日めくり 二〇二二年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
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二〇二二年六月二日 「夢」


 けさもお金の夢を見た。父親がお金を貸してほしいというのを断ったのだ。弟は出したのに。ぼくはケチなんだろうか。父親はとっくに亡くなっているし、そんな事実もなかったのだが。ぼくたちは山のなかに住んでいて、その山の地面には、身体を半分以上埋めた人たちでいっぱいだったのだ。ぼくは入試で急いでいたときに、死んだ父親にお金を貸してほしいと言われたのだった。弟はすました顔でお金を貸していた。ぼくは地面に埋まった人の顔を踏んづけて、山のうえの学校に入試に行こうとしていた。


二〇二二年六月三日 「一九九九年」


 5作目は
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