詩の日めくり 二〇二二年六月一日─三十一日/田中宏輔
モフ『夢を売ります』田中融二訳、128ページ)主人公のところに10歳の子どもがスカウトされてきた。個性的な夢を見る者としてだ。つぎには政府の役人が来て、エロチックな録夢を主人公に見せて、こんなものが出回ってはいけない、検閲するかもしれないと言う。さいごに夢を見る者が社にやってきて、録夢をやめたいと言う。主人公はいいと言った。彼は社に戻って録夢をするしかないと主人公は考えていた。主人公のさいごの言葉だ。「わたしには、夢想家という夢想家は全部気の毒に思える。こうして長年この仕事に没頭してきた間に、わたしは一つのことをさとった。というのは、かれら夢想家たちの仕事は、人間を幸福にするということにあるという
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