詩の日めくり 二〇二二年六月一日─三十一日/田中宏輔
いうことだ。──自分をではなく、他の人々をね」(アイザック・アシモフ『夢を売ります』田中融二訳、145ページ、146ページ)
プールでバッグを盗まれる夢を見た。
こころのなかで事物は変化していく。風によってつぎつぎと変化していく雲のように。風のない日だって、雲は姿を変えていく。自我もまた同じだ。事物の印象は次々と変化していく。変化を免れるものなど一つもない。ぼくは詩論でこのように、雲に例えて自我論を展開していた。
ひょんなときに出る思いつきや、それをうながすものなどは、森の中でひょんなときに出くわす兎に例えていた。ヴァレリーに習ったのであった。
@kohimon いろい
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