EN DLESS SU M MER/本木はじめ
 
の抜け殻


深海であなたとふやけつつ今日も空に向かって釣り針なげる


代わりならいくらでもいる夏の夜 赤いスカート燃やして遊ぶ


夕焼けの色を調節せんときみ握り締めたるプラスドライバー


水色のページめくれど数滴の雫こぼれるばかりの海辺


垂直へ降りてゆこうよどこまでも水深二千五メートルの夏


青空になくしたものを探してる羽根をなくした非行少年


空と海ふたつの青に抱かれつつ脱皮の果ての夏色少女


夏沼のほとりにふたり腰掛けて汗ばみながらどろどろしよう


ベルトコンベアーに乗ってぼくたちの部品は夏へと流されてゆく



[次のページ]
戻る   Point(9)