EN DLESS SU M MER/本木はじめ
 

逆上がりしていたぼくらを眠らせて違う遊びに耽る夏の日


とうめいな水に瞳を沈めつつ今は夏だと思い込む夏


彼岸花みぎもひだりもわからずに少年少女が駆けゆく雨中


亜熱帯植物園内駆けてゆく子らの一秒、二秒、を妬む


石灯籠はさんでふたり見つめ合う少年少女の石像に雨


中心に向かって螺旋に落ちてゆく蚊取り線香色のあの夏


縁側にふたりの草履朽ち果てていずれなるのか山の一部と


骨組みの隙間を埋める青空や夕焼け模様の団扇は無風


終わりなき夏に迷子になるぼくら置き手紙だけ秋色のなか





戻る   Point(9)