詩の日めくり 二〇二一年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
に残っていた。他のロボットといっしょにそれを安全な容器に詰めた。これが最後の務めだと思っていた主人公だったが、そうならなかった。というのも、火星に行ってたはずの恋人が金星の遠隔操作型のロボットのなかにいたことがあとでわかったからである。彼は地球には戻ろうとは思わなかった。金星は、彼が立ち去るのを許しはしないのだった。この作品はとてもおもしろかった。


二〇二一年六月二十九日 「時空への脱走」


 8作目は、アドリアン・ロゴズの「時空への脱走」空間と時間の等価関係を数式で発見した男がいた。彼は研究所から狙われていたので砂漠を車で走った。飲み水も食べ物もなくなったところで、54世紀の人
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