詩の日めくり 二〇二一年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
たことじゃないと思う三人組であった。この作品には、詩に関心のないひとの詩人に対する思いが書かれてある。つぎのようなものだ。「簡単に、できるだけわかりやすく思考するように努めたまえ、まあ例えば数学的分析さえ忘れてしまった詩人に問題を説明してやる時のようにだ」/「ええ、しかし、詩人なんて、どう説明したところで、何一つわかりゃしませんよ」/「それはそうだとも。だが、セレブロスコープは結局のところ詩人などでは全くなくて、立派な機械なのだからね。うまく説明してやれば、必ず理解するだろうとも」(コンラッド・フィヤウコフスキ『セレブロスコープ』沼野允義訳、88ページ)詩人なら気になるやりとりだろう。

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