そのかさをとじる/あらい
 
める仔猫を抱いて
 
   飛び歩く鞠を、握りつぶして、自分は愛をかたる偽善者なり。
 
 素足の裏側は平然とした文学史を数えているが、凪いだ朝は鎧戸を閉め、もみ消された口数に夜は乾草の臍の緒をぴたりと噛み、砂を合わせたような明後日を氷解に。なすがままに、むんずと猿真似の彗星が後を引く、傷んだ喉を韻風が通り抜け修復される言葉を授かります。
 
   「そのふてくされた態度は。黄泉の客であると?」
 
 重たいだけの細工を識る記憶の欠片を、補われることのない心の安らぎを、眼帯で覆い、内庭に対し足をバタつかせる。欠伸と、鐘楼と、空回りする御天道様はただ……希望を潤す不確定の遠視眼と沈黙
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