円周率の旅/服部 剛
 
あの頃「敷かれたレール」から逸(そ)れて
長らく僕は、台本のない道を歩いてきた
最近ふと立ち止まり
ふり返った背後の道に
無数の数字が記されていた

3.14159265359………

どうやら僕は自分が誰か?を知るために
円周率の道を歩いてきたようだ

ある人はそれを「無謀」と呆(あき)れ
ある人はそれを「馬鹿」と叱り
ある人はそれを「勇気」と讃え
ある人はそれを「すてき」と伝えた

僕は単なる馬鹿じゃなく 
とびきりの勇気があるわけじゃないけれど
ひょっとすると「すてき」なのかもしれない 

とうの昔に踏み出した足は
このまま円周率の旅を歩
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