人が待つもの4/チャオ
時計を見ると、待ち合わせの時間から1時間くらい過ぎていた。連絡は来ない。僕が待つもの。約束なのか、友人なのか。
愛が報われるなら永遠でも待てるといったエミリディキンスン。彼女は約束なんてちっぽけな言葉の意味を待ちはしなかったんだろうな。そこに迎えられる現実だけ、それだけを待ち続けたのだろうな。
僕はというと、待ち合わせ場所に立って、時計とよく晴れた青空と携帯電話を交互に見ている。それにしてもよく晴れた空だ。何で僕はこんな天気のいい日に、ぼけっと突っ立って一時間も手持ち無沙汰に友人を待ってるのだろう。
僕たち人間に許された世界は「いま」っていう、瞬間だけの世界。「次」の世界を僕たち
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