罪を洗う風/秋葉竹
からだ汚れて帰る家には
やくそくなどなく
ひとの影もない
が
花が一輪、咲いています
ひとの影が肉なのだと
あるいは水分なのだと
あるいは血、なのだと
絶えることなく
ながれるこころを洗う
吹きさらしの風が
その恥ずかしい血を
流させ
その真っ赤な本心を
さらけ出すのだと
白猫が
そっと
その血とこころを舐める
色つきの夢をみたのです
こころの内側に
むかしばなしで鬼にさらわれた
さくら色のお姫さまの
居場所があるのです
浅い夢に溺れるのは
そういうわけで、です
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)