君の癖/桜 歩美
 
君が眠るとき欠かせないもの
それはお母さんの小指の爪

君はいつもお母さんの小指の爪を
小さな指でさすりながら
口をチュッチュッさせて眠りにつく

お母さんの小指をさすり始めると
お母さんは君が眠いことを知り
口がチュッチュッと音を立てると
もうすぐ眠りにつくなと思う

お母さんは毎晩君のチュッチュッという
舌を鳴らす音を聞きながら
胸がキューンと切なくなるの

君がそんな風に眠るようになったのは
お母さんが君に母乳をあげられなかったから

お母さんは持病があって
毎日お薬を飲まなきゃ生きていけません
だから産婦人科の先生に
「母乳は3週間しかあげてはい
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