詩の日めくり 二〇一九年十一月一日─三十一日/田中宏輔
会話していた連中の間で交わされていた言葉が、自分の口からポロっと出てきた。無意識のうちに取り込んでいたのだろうけれど、その言葉はぼくたちの会話のなかに現われても違和感がちっともなかった。無意識が取り込むものがいかに多いか。
二〇一九年十一月七日 「考察」
さまざまな時間が、ぼくのことを思い出す。さまざまな場所が、ぼくのことを思い出す。さまざまな出来事が、ぼくのことを思い出す。そうやって、思い出されるたびに、ぼくの輪郭が明瞭になっていく。
二〇一九年十一月八日 「考察」
自分を破滅させるものを愛する人は多い。一部の人間は破滅すること自体を愛することもできる
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