読書における娯楽性と読破という苦痛について/山人
 
その意味を調べながら読み進めるという段取りで、時間もかかった。結果として脳内に何か残っているかと言えばどうなのだろう、あまり印象はない。詩集としては、一般人が出した詩集数冊と川口晴美の「やわらかい檻」、田村隆一、宮沢賢治程度であるが、一読でしかないので、ああ、すごいなという印象程度のものである。ただしかし、詩人は小説家よりは不利だなと思う。
 小説の楽しさというのは、もちろんストーリーの展開もそうだが、設定された時代時代に浸ることができるという点にあると思う。「宮本武蔵」を読めば戦国時代へ飛び、「峠」を読めば、幕末の混沌とした時代への生き急ぎを体感でき、現代へのはざかいの明治大正の身分の違いによ
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