詩の日めくり 二〇一九年八月一日─三十一日/田中宏輔
思って
ル・マンドというお菓子をリュックから出したら
そのお菓子を買ったときの領収書が道に落ちたので
拾おうとして、しゃがみかけたら
学生服姿の高校生の二人組のうちの一人が
さっと拾い上げて、ぼくに手渡してくれた。
ぼくの足が不自由だと思ったからだと思う。
人間のやさしさって
感じる機会ってあんまりなくって
あんまりなかったから
電車の扉がしまってからでも
その高校生たちの後ろ姿を
見えなくなるまで
ぼくの目は追っていた。
二〇一九年八月九日 「坂多瑩子さん」
坂多瑩子さんから、詩集『さんぽさんぽ』を送っていただいた。おいく
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