詩の日めくり 二〇一九年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
っくりと
風景を変えていった

いつもより
たくさんのものに目がとまった
田んぼの周りに生えている雑草やゴミ
通り道にあった喫茶店のドアに張られたメニューのコピー
歩道橋の手すりについた、まだらになった埃
これって、きっと雨のせいだろうね。
ぼくは何度も
その埃が手のひらにくっついたかどうか
見た。
埃はしっかり、銀色に光った鋼鉄製の手すりにこびりついていて
(ステンレススティールだと思うけど、違うかな?)
ぼくの手のひらは、ぜんぜんきれいだった。


二〇一九年八月八日 「ル・マンド」


電車を乗り換えるとき
食べようと思っ
[次のページ]
戻る   Point(14)