彼に会いたい/ホロウ・シカエルボク
えやすく、群れを成す、なにかしら例を挙げるまでもないだろう、単純な生きものは簡単に増え続けるものさ、そんな群れの中で脳味噌を麻痺させて腐らせてはいけない、分るだろう、生きやすい場所には決して近付くべきではない、たったひとりの場所で生まれてくる言葉は獣の咆哮でなければならない、理性の範疇で生まれてくるものなどなんの意味も持たない、まだ見ぬフレーズを思い涎を垂らす、そんな暮らしに焦がれながら随分と長い時を過ごしたものだ、住処に戻り、いくつかの用事を片付けてからソファーに腰を下ろしてパンク・ミュージックに耳を傾けた、ガールフレンドを介して見てもらったユタの血を引くチャネラーの言うことにゃ、この魂の根底に
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