彼に会いたい/ホロウ・シカエルボク
 
いないみたいだった、もう耳が聞こえていないのかもしれない、いつかあらゆる出来事にシャッターは下ろされる、夢は目蓋の裏側で見るものだ、そうだろう?ガソリンスタンドの有線放送から流れる、詞と曲が良くて、音を外さないだけのボーカルが乗っかってるヒットソング、コンピューターが歌っているみたいに聞こえる、溢れんばかりの愛が歌われているはずなのになぜ、そこからはどんなものも生まれてこないだろうという気がした、最上級のラブソングの模倣、社会、大人、幸せを謀られた連中がそいつを鵜呑みにしている、たったひとつの言葉ですべてを片付けられることは果たして幸せだろうか?いや、そこで満足出来ることはきっと、これ以上ない不幸
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