詩の日めくり 二〇一九年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
とがタイプだったのかな。ぼくの股間をさわってきた。ぼくはさわられるまま黙っていた。気持ちよかった。5度目は、ぼくがやはり30代のはじめころに、学校からの帰りに通勤電車に乗っているときに、学生に横に坐られて、背中をさわられたことかな。まわりにわからないようにさわられた。ぼくは席を変わらず、さわられたままだった。6度目から10回目までの痴漢は、ぼくが40代のときに、地下鉄に乗っていたときに遭遇した、同じ子で、ぼくより10才ほど若くて、坊主頭のかわいらしい男の子だった。ぼくが電車のなかで、かわいらしい子だなと思って見つめていたら、その子の方から、ぼくのそばに寄ってきて、ぼくの股間をさわりはじめたのであっ
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