コリドラス/ちぇりこ。
 
てしまっていた
それでも徐々に行動範囲を広げていったわたしたちは近所のコンビニ、児童公園、商店街のアーケード下と
駅前のシネコンに辿り着く頃にはもうすっかり冬だった
わたしはコートのポケットに手を突っ込んで歩いていた
上着を着てこなかった彼は後ろからわたしのコートのポケットに手を突っ込んできてポケットの中で指が触れ合うと
約束、指切りげんまん指切った
と言ってわたしの顔を覗き込んできた
彼の眼は遠い国の大きな火山の火口で悲しみを湛えて横たわる青いカルデラの湖水のようだった

それからわたしは、彼には内緒で独りで行動範囲を広げていった
部屋に戻らなくなる間隔は日増しに長くなり

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