コリドラス/ちぇりこ。
 

二日くらい戻らなくなる日もざらだった
彼の眼を盗んでこっそり部屋に入りコートをハンガーに掛ける、慌てていたのでコートの内側からドングリやいちょうの葉っぱやエゾシマリスがぼとぼとと落ちてきた
わたしはバツの悪そうな顔したけど、彼は見て見ぬふりをしていてくれた
彼が何かわたしに喋りかけたけど、彼の口からは空気の泡がポコポコ出るばかりで、わたしにはもう彼の言語は理解出来ないでいた

そうして一週間、半月、一ヶ月と彼の部屋を空けることが増えていった
わたしは西の果ての砂漠を行き交うキャラバンのフタコブラクダのコブの数を数えたり
南の島の大きな白い女の身体のような砂浜に仰向けで寝っ転がって
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