「歌う鳥」と「歌う人」/ベンジャミン
と吸い込まれてゆきました。
いったいどれくらい歩いたのでしょう、旅人はすっかり歩き疲れてしまったのですが、少し開けた池のほとりで、とうとうその歌声の主を見つけることができました。
旅人はすぐにでも呼び止めてしまおうかと思ったのですが、驚かして逃げられては困るので、どうしようかと悩んだすえに、その声にあわせて歌うことにきめました。
鳥は自分の歌にあわせて聞こえてくるもう一つの声にすぐに気づいたのですが、知らないようなふりをしてそのまま歌い続けました。けれど、いつまでたってもその声が止まないので、だんだんいらいらしてきた鳥はこらえきれずに言いました。
「なんだい君は!私が歌っているのを邪魔
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