「歌う鳥」と「歌う人」/ベンジャミン
邪魔しないでおくれよ」
旅人は、はっと驚いたのですが、すぐに嬉しくなって言い返しました。
「やあ鳥さん 僕はまったく悪気があったわけでないのです あなたがあんまり気持ちいい声で歌っているものだから 僕はついつい失礼を忘れていました」
鳥はやっぱり不機嫌そうに、
「君はあたりまえに私を鳥だというけれど まったくそれは間違っている 私は鳥ではないのだ 鳥というものは自由に空を飛ぶもので 私は空を飛ぶことを知らないのだから・・・ さぁ ここは人の来るところではないから さっさと行ってしまいなさい」
そういうと、鳥は気を取り直してまた歌おうとしました。
旅人は、くっと笑いをこらえながら、それを
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