詩の日めくり 二〇一八年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 
に考えさせる出来事であったのだが、ほんとうに、思考というものは、身近にあるものを、すばやく貪欲に利用するものである。あるいは、いかに、身近にあるものが、すばやく貪欲に思考になろうとしているのか。


二〇一八年十二月三日 「考察」


 蚕を思い出させる。蚕を飼っていたことがある。小学生のときのことだった。学校で渡された教材のひとつだったと思う。持ち帰った蚕に、買ってきた色紙を細かく切り刻んだものや、母親にもらったさまざまな色の毛糸を短く切り刻んだものを与えてやったら、蚕がそれを使って繭をこしらえたのである。色紙の端切れと糸くずで、見事にきれいな繭をこしらえたのである。それらの色紙の切
[次のページ]
戻る   Point(14)