詩の日めくり 二〇一八年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 
たのであろう。しかも、その取り込んだ言葉には不自然なところがなく、こちらが話していた内容にまったく違和感もなく、ぴったり合っていたりするのである。異なる文脈で使用された同じ言葉。このような経験は、一度や二度ではない。しょっちゅうあるのである。さらに驚くことには、もしもそのとき、その言葉を耳にしなかったら、その言葉を使うことなどなかったであろうし、そうなれば、自分たちの会話の流れも違ったものになっていたかもしれないのである。このことは、また、近くの席で交わされている会話についてだけではなく、たまたま偶然に、目にしたものや、耳にしたものなどが、思考というものに、いかに影響しているのか、ぼくに具体的に考
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