姿見./あらい
 
そこへ向かうのだと、自らの激情に身を預ける

 しかし久方ぶりに此処へ戻ってきた、
病変は蛙に反り少しの暇を頂いたのだが。所の角を曲がると雅な垣根が並んでいた。見知った朝顔であったが、今日はもう随分と色めき立つ 我が誉れで充たされよう。

 大ぶりで真っ白な手毬達が雁首並べて 私を葬列へ誘う。まま胸に手をおいて 瞼を閉じてゆき、あゝ 眩しくもない。柔らかな光にうちすえられ、笑い愛て、君に巻かれてしまうと。あららあらわ、
 しあわせで居った、丸裸の私の中心を注いでいた 点とも血ともつかないともしびが、くろぐろ。陰に揺らいでいて、だからこそ 君も僕もいる世界の仲を描いたのものが 《鍵盤に生
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