対話篇/やまうちあつし
それほど
賢くはできていない」
知るかよ、そんなこと!
遅々として進まぬ渋滞への苛立ちを
クラクションに込める
今日日
あまりに乱暴な煽りはご法度である
「そもそも間違いでないことが
これまでに一度でもあっただろうか?
間違いのなかから
どうにかやりくりした結果が
今なのではないのか?」
アクセルを踏む足に力がこもる
「赤だぞ」
車が急停車する
ガクン、と衝撃を受ける
一人と一匹
確かに間違いだったかもしれない
こうしてお前を
車の助手席に乗せるようになったことも
黒ヒョウはフフン、と鼻を鳴らす
「気分を害したなら
謝ろう
この牙と爪に
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