「あなたを待っていたのよ」なんて、退屈している女ならみんな口にするものだ/ホロウ・シカエルボク
 
座っていられるだろう、そんな気がした、だからさっさと退散することにした、そこに座り続けることを覚えてしまったら、もう現実世界には戻れないかもしれないと思ったからだ、景色は動かず、車道には車の影もなく、もはや写真のようだと言っても差し支えなかった、風と、光の蠢きがなければ本当にそのまま、その異常さの中に取り込まれてしまうに違いない、二軒の家が、ガリバーがのんびり横になれるくらいの間隔を開けて建っていた、どちらの家にも住人が居ないことは明らかだった、ここが栄えることを信じて飛びついた誰かが居たのだろう、遠目にもそこが住処として使われたことがないらしいことは見て取れた、バースデーケーキの食べられない飾り
[次のページ]
戻る   Point(2)