「あなたを待っていたのよ」なんて、退屈している女ならみんな口にするものだ/ホロウ・シカエルボク
このあたりには巨大な遊園地とショッピングモールがあった、誰もがここを訪れ、娯楽や買物、食事を楽しんでは帰って行った、ある時彼らは帰ったきり二度と戻っては来なかった、ここはすべての居住区から遠過ぎたのだ、だからこそ出来た巨大な施設ではあった、でも、だから、あっという間に廃れる羽目になった、それがあった場所はいまただの固められたアスファルトになっている、一見すると駐車場のようだし、実際そこに車を止めたところで誰かに文句を言われることはない、常駐したって全然問題はない、でも、ここに車が止まることはない、誰に踏まれたこともあまりない黒々としたアスファルトを眺めていると、遙か昔ここで無残な争いでもあったのだ
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