「あなたを待っていたのよ」なんて、退屈している女ならみんな口にするものだ/ホロウ・シカエルボク
少し砂が混じったようなノイズがあった、しゃがんで撫ぜてみると確かに微かに細かい砂が積もっているようだった、このあたりには砂地などない、いったいこれはどこからやってきたのだろう?塵や埃が湿気などで固まり、こういった感触を作り出しているのだろうか?考えても答えが出ないことは分かっていた、だから、それきり靴底の感触のことは忘れて歩道橋を渡り終えた、渡り終えたところで振り返ると、上るときと全く同じデザインの階段が同じ角度で伸びていた、閑散とした景色の中で歩道橋の両端をしげしげと眺めてみたことがあるだろうか、一度やってみるといい、それはパラレルワールドの存在を納得するのに十分なくらいの感想にはなる、昔、この
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