「あなたを待っていたのよ」なんて、退屈している女ならみんな口にするものだ/ホロウ・シカエルボク
すみたいにベコッと取り外して隅に追いやることが出来たらこの目には何が映るのだろう、この耳には何が聞こえるのだろう、そんなことを考えてはみたけれど、でもそれは今すぐ宇宙空間に行きたいと願うのとさほど変わらない無意味な願いだった、歩道橋のステップは見た目ほど心許なくはなく、むしろ安心感さえ覚えるほどの確かな硬質でスニーカーのソールを受け止めた、歩道橋の中央で立ち止まると、片側三車線の道がただただ前後に、虚ろとも呼べるほどの感覚で伸びているのが見えた、歩道橋の上から見る景色は悪くない、それがどんな種類のものであろうと、それはきっと歩道橋の上からしか見ることが出来ないものなのだ、靴底がとらえる感触には少し
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