ちょこっと寒いところにちょこっと長居しただけですぐ体調を崩すやつ/末下りょう
手な服を着せた若そうな柴犬と通りすぎる
花壇の向こうの芝生には 若い男女がやわらかそうなフリスビーをピザ生地のように投げ合っている
その先の溜池には 釣り人が自らの魂に糸を垂らすように萎えた竿を揺らしている
聞き覚えのある声がぼくの名前を呼んだ ぼくの名前のほうを向くと
花柄の日傘を差した彼女がいた
彼女はばっさりと髪を短くしていた
彼女はなにかを着ているのだけれど 光の加減で なにを着ているのかぼくにはよく分からなかった
彼女の顔もどこかぼんやりと白く霧がかっていて 彼女の声は霧深い森の奥から鳴り響く記憶のようだった
彼女の足
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