ちょこっと寒いところにちょこっと長居しただけですぐ体調を崩すやつ/末下りょう
の足下には スカートらしきものが小波のように揺れていた
そのまた下の ベージュっぽい 靴らしきものは 穏やかな海に沈んだ二艘のボートのよう
三輪車の女の子が汚物を見るような目でぼくを見て
ペッタンペッタン通りすぎる
母親たちの笑い声が響く
真昼の遠心力に震える 蝉の鳴き声は もうない
ぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるぐるぐる
花柄の日傘が彼女の手から離れ 空に投げ出されたように見えた とても乱暴に
ペッタンペッタン
ペッタンペッタン
ぼくの視覚はもう 次の空白を埋めるためだけに必要であるに過ぎなかった
灰色の風景が
斜めに、消える
ァ
ボクニハキミニツタエタイコトナンテナニモナインダ
ハジメカラ
ナニモ
彼女の声が 次の空白を探すように木漏れ日に溶けていく
戻る 編 削 Point(3)