詩の日めくり 二〇一七年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
こばせるためだったら。
ぼくにできなかったのは、ただひとつ
きみをぼくのそばにいさせつづけることだけだった。


二〇一七年月五日 「蝶。」


きみは手をあげて
蝶を空中でとめてみせた。

それとも、蝶が
きみの手をとめたのか。

静止した時間と空間のなかでは
どちらにも見える。

その時間と空間をほどくのは
この言葉を目にした読み手のこころ次第である。


二〇一七年十月六日 「蝶。」


蝶の翅ばたきが、あらゆる時間をつくり、空間をつくり、出来事をつくる。
それが間違っていると証明することは、だれにもできないだろう。

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