詩の日めくり 二〇一七年十月一日─三十一日/田中宏輔
 



二〇一七年十月七日 「蝶。」


たった二羽の蝶々が
いつもの庭を
べつのものに変えている


二〇一七年十月八日 「蝶。」


ぼくが、ぼくのことを「蝶である。」と書いたとき
ぼくのことを「蝶である。」と思わせるのは
ぼくの「ぼくは蝶である。」という言葉だけではない。
ぼくの「ぼくが蝶である。」という言葉を目にした読み手のこころもある。
ぼくが読み手に向かって、「あなたは蝶である。」と書いたとき
読み手が自分のことを「わたしは蝶である。」という気持ちになるのも
やはり、ぼくの言葉と読み手のこころ自体がそう思わせるからである。
ぼくが、
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