静寂の裏側の出来事/ホロウ・シカエルボク
 
てそのことを忘れているのだ、そうだろ、そう思わないか、何度目かの通知のあと、僕はスマートフォンにそう話しかける、うるさいな、とやつはいらいらした調子で答える、君が言ってるのはあくまで受信者としての問題なんだ、と口調をさらに荒げる、僕にどうこう言うようなことじゃない、そうだろ?君はいつもそうだ、と僕は返す、自身のスペックをフル稼働してあらゆるものをこちらに押し付けてあとは知らん顔、こちらがそれに乗っかれば当然みたいな顔をして、出来なければ見下した目をしてみせる、だからなんだ、これが僕の役目なんだ、とやつは叫ぶ、君はそうやって、面倒臭いことを言って誰かと違う自分がそこに生きているって信じたいだけなんだ
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