ネジ/草野大悟2
 
りとね。
 もちろん、きみにも聞こえているはずだ。
 きみがその声に戸惑っているのがわかる。だってきみは、つい百年ほど前までは、その声を聞くことができなかったばかりではなく、その存在自体を知らなかったし、知ろうともしなかったんだから。
 それが、この空間で俺とひとつに存在するようになり、ゼピュロスの風のなかで眠るようになってから、空の声の存在を感知できるようになったし、聞くこともできるようになっている。
 君は、もう、とっくにその事実に気づいている。それなのに、生来の負けず嫌いから、認めることを拒んでいる。
 だって、そうだろう?
 その声が響くとき、君のフローラから泉のようにあふれ出
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