ネジ/草野大悟2
 
ればかりか、著しい消耗が牙を剥いて待っていることが明確に予見される。
 もう、いいじゃないか。
 俺と君が今、この空間でひとつに存在する、ということだけで十分じゃないか。
 もう、やめよう。
 ただ、この瞬間と少しばかり先の時と、来世だけを見ていこう。

 君と俺とは、いつかの時空で、ひとつの生命体だった、と感知させてくれるものがある。それは、空の声だ。
 だれもがその声を聞けるわけじゃないから、俺のいっていることはただの空想あるいは幻聴、幻覚の類だと解釈してもらってもいい。いや、むしろ、そのほうが自然だろう。
 しかし、ごく少数の生命体には確かにその声は聞こえる。
 はっきりと
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