詩の日めくり 二〇一七年二月一日─三十一日/田中宏輔
て
そこには
セルの黒縁眼鏡をかけた大柄なおじさんと
とても大柄なその奥さんがいて
定食類がおいしかったから
パパと弟たちといっしょに
よく行ったのだけれど
その夫婦は
お客の前でも
口喧嘩することがあって
いやな感じがするときもあったけれど
だいたいは穏やかな人たちだった
「○○院に出前を届けたら
そこの坊さんの部屋には
日本酒の一升瓶がころがっていて云々」
といった話なんかもしてくれて
へえそうなんやって子供のときに思った
大学院のときに
女装バーでちょっとアルバイトしたことがあって
そこで
その○○院の若いお
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