詩の日めくり 二〇一六年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
シュ


二〇一六年十一月二十四日 「立派な批評家」


明瞭に語られるべきものを曖昧に語るのが
おろかな批評家であり
曖昧であるものの輪郭を
読み手が自分のこころのなかに明確に描くことができるようにするのが
立派な批評家であると
わたしは思うのだが






して
立派に批評家であると
わたしは思うのだが
いかがなものであろうか


二〇一六年十一月二十五日 「桜の木の下には」


京大で印刷だった
キャンパスにある桜の木の下で
ちょっとした花見を
桜の木の下には
吉田くんと吉田くんたちが埋まっている
桜の木の下には
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