詩の日めくり 二〇一六年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 

たくさんの吉田くんたちがうまっていて
手をつないで
お遊戯してた
ぼくたちは
吉田くんたちは桜の木のしたで
土のなかで盛り上がっていた
地面から
電気のコードをひいてきて
桜の木の下で
コタツに入って
プーカプカ
しめて
しめて
首に食い入るロープのきしむ音が
しめて
しめて
桜の木の下で
ぼくたちは
吉田くんたちはポテトチップを
むしゃむしゃ
むしゃむしゃ
桜の木の下で
ぼくたちは
吉田くんたちは
ぼくたちを見下ろしながら
ぎしぎしと
ぎしぎしと
ひしめきあっていた
この際


二〇一六年十一月二十六日 「セーターの行方」

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