詩の日めくり 二〇一六年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
白い紙が
ゆっくりと降りてくるのが見えた
ぼくは
机に向かって坐っていたのだけれど
ドアもしまっていて
見えないはずなのだけれど
なぜだか、ぼくには
階段のところも見えていて
人の形をした白い紙が
階段を降りてくるのが見えた
軽い足取りのはずだけど
しっかり踏み段に足をつけて
白い紙が降りてくる
ぼくは、机の上のカレンダーと
階段の人の形をした紙を同時に見てた

だれでもない

その日
帰りしな
駅のホームのなかで
ひとの大きさの白い紙がたくさん寄って
同じ大きさの一枚の白い紙を囲んで
ゆらゆらゆれているのを見た


二〇一六年十一月十五日 「名
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