詩の日めくり 二〇一六年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
ズ入れに捨てた。こんなことするの久しぶり。それくらい質が低い短篇集だった。何読もうかな。『フラナリー・オコナー全短篇』下巻にしよう。


二〇一六年十一月九日 「磔台」


ある朝
街のある四つ辻に
磔台が拵えてあった
道行く人はみな知らん顔を装っていたが
それでいて
磔木の影さえ踏まないよう
用心しながら通り過ぎて行った
そして
ある朝
ある見知らぬ人がひとり
磔になっていた
道行く人はみな知らん顔を装っていたが
それでいて
磔木の影さえ踏まないよう
用心しながら通り過ぎて行った
やがて
ある朝
その人が亡くなり
代わりに
ぼくが磔台に上った

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