深い夜の砂漠/ホロウ・シカエルボク
かへと行ってしまったのか、とにかくその世界は静寂に包まれた、歩いている俺が立てる音以外どんな音もなかった、フィルムの色褪せた砂漠のような光景だった、足元の砂の深さでもう生きものが居ないだろうことを知った、さっきの小動物はもしや、もともとは誰でも知ってる生きものだったかもしれない、いまさらのようにそんなことを考えた、でもなにもかもがもう遅かった、もしそうだとしても彼らは形が変わり続けていたし、こちらはこちらで気まぐれが過ぎたのだ、わずかな隆起のほかはなにもなかった、歩いている理由も理解出来なかった、けれどそんなことはもう問題にはならなかった、理由ありきで進行する出来事など本当は数えるほどもありはしな
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