適切な靴を履いて歩いている薄汚い夜の現象/ホロウ・シカエルボク
なんになるというのだ?「俺は服を着ている」ただそれだけのことだー外灯の光が湿気のせいで丸く膨らんでいる、二十三時にそんなものを眺めていると、地球の内部の図解を思い出す、地殻とマントルと核…だったっけ?「地球の中には別の文明がある」って話のほうが俺は好きだけどねー近頃は感染を恐れて、うろついて飲むぐらいしかやることのない連中も流石にちらほらとしか見かけない、誰とつるむこともなく、黙って、そんな通りを歩いていると、これはとことんシンプルに表現された俺の人生だという気がした、でももう、そんな考えに一喜一憂するような時間は過ぎた、なるほどね、と適当に納得しておけばそれでいい、なにもかも落ち着くところに落ち
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