適切な靴を履いて歩いている薄汚い夜の現象/ホロウ・シカエルボク
だ…駄目だ、妙な遊びが始まってしまっている、安物の靴は軽くて丈夫で、おまけに歩き疲れなかった、そしてどれだけ強く踏みしめても、葉を撫でるみたいな足音しかしなかった、それだけでも気分は少しだけマシだった、そもそも俺は靴を買わな過ぎるのだ、こいつにしたって、散歩中に突然、それまで履いていた靴のソールがパカッと外れたせいで慌てて買ったものだった、そういえばーいま身に着けている服はいつ買ったものだったろう?もう二年か、三年は前に買ったものに違いなかった、服もそうだった、買わな過ぎるのだ…だからなんだ?別に困ることもない、ハナから流行など関係ないようなものしか持っていない、洋服などあれこれ凝ったところでなん
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